グッドだね

魔法使いマリちゃん

「XYZ=repainting」最高(これはサビです)

Sexy Zone、5thアルバム「XYZ=repainting」リリースおめでとうございます!~全曲レビューSexy自由律俳句~(サブタイトル)

 

約2年ぶりのオリジナルアルバムとなる本作品、名実ともに「待望の!」「満を持して!」といった冠の似合う、たくさんのエネルギーとパワーに満ちた一枚となっている。個人的には初めてリアルタイムで手に取ったSexy Zoneのアルバムということも相まって特別な思い入れが生まれてしまうが、そんな贔屓目を差し引いても最高の作品、名盤中の名盤、聴けばたちまち魅了される!と自信をもって断じることができる。街行く見知らぬ人々の肩をすれ違いざま揺らしながら「「XYZ=repainting」聴いた!?」「「XYZ=repainting」やばくない!?」「「XYZ=repainting」最高じゃない!?」「Sexy Zoneって最高~!!」「Sexy Zone大好き~!!」と叫んで回りたい衝動を抑えるのに日々全神経を注いでいると言ってももはや過言ではない。

さて、そんな「XYZ=repainting」、一曲一曲がまさしく珠玉の楽曲たちで、珠玉の楽曲たちを歌うSexy Zoneの魅力も一瞬ごとに大爆発していて、なんというかもうとんでもないので、大通りを両腕振り回して駆け抜けたい気持ちもそのままに全曲レビューをしようと思う。音楽的な専門知識はいっさい持ち合わせていないため非常に主観的かつ感情的な感想に偏ってしまう臭PUNPUNだが、新しいタイプのSexy自由律俳句だと思って風流に見てもらいたい。Sexy Thank You!!(始まる前からお礼を述べていくスタイル)

 

 

Tr.01 XYZ(Introduction)

華々しくアルバムの開幕を告げる一曲目、「XYZ(Introduction)」。しょっぱなのドラムの音は「なにかが始まる」ときに感じる胸の高鳴りを連れてきてくれてもうたまらない。ショーやミュージカルがいままさに開演するような、あるいは幕間が終わって二幕が始まるような、「これからなにかがやってくるけれどそれがなにかはわからない」、あのわかることとわからないことの間で揺れているときの底冷えするほどのぞくぞく感。最高。最初の一瞬からすでに最高で、ここからさらに上に行け、上に行こうって突き上げてくる力強さに病みつきになる。

英語の歌詞も意味を追ってみると洒落ていて刺激的で、「XYZ=repainting」の世界観をシンプルに表現している。「it’s show time」と高らかに宣言したあとに続くパワフルな言葉たち。物語はすでに始まっている、過去から飛び出せ、あの薄明りの中に見えるのはそう、新しい星々「Sexy Zone」なのだと。彼らとともに高みへ昇る準備は、彼らの手を取る準備はできているかと。repaintingを掲げたSexy Zoneからの、ある意味では宣戦布告、そしてまたある意味ではプロポーズとも感じられて最高にcoolだ。「In my new kicks」、新しい靴を履いたならあとはもう駆けあがっていくだけ。スタートの合図たるピストルが鳴り響けばそこはもう「XYZ」で、その先へと突き進むまっすぐな勢いがぎらぎらとしてまぶしい。

 

Tr.02 忘れられない花

本作のリード曲かつAOKIフレッシャーズのCMタイアップソング。音楽番組等では最大の売りたるSexy Zone史上最高難度のダンス」という言葉通りの情熱的かつ抑制された情感あふれるダンスを披露していた。個人的には腰と脚を順に曲げていく振付が全員分ずっと見ていたいくらい好きなので、音楽番組にもマルチアングルをつけてほしいと心底思う。

炎の中で踊るMVやダイナミックな振付のダンスながら、通奏低音がごとく耳に残るバスの音色が印象的で楽曲自体はどこか冷静に感じる。「涙で咲いた 二人の花」という歌詞は「二人」が想いあったまま別れを迎えたことを表しているのかもしれない。この曲の主人公が「君」を忘れられないように、「君」もまた主人公を忘れられないのだとしたら、「花」は永遠に枯れないままでいられるだろう。忘れたいけれど思い出したい恋は激しくて美しい。

歌割に関してもそこでそうくる!と思わず膝を打ってしまう部分が多いのも、この曲が挑戦のアルバムのリード曲として堂々たる風格を醸し出している理由のひとつだと思う。特に「響く鼓動のBPM」「ピタリと同じあの頃」の聡マリは本当に凄まじい…パフォーマンスでの冷たくって熱い、硬質で大人びた視線も含め息を止めてしか見られない。個人的には「声になりそうもない「グッバイ」」が大好きで、唯一無二の繊細な魅力を放っている勝利くんの歌声とぴったりマッチしている。「グッバイ」に込められた諦念が透き通って見えて胸が締めつけられた。

それとMVや音楽番組で着ている赤い衣装、5人それぞれが異なる意匠を纏っていてこれもまた最高なのでぜひ詳しく見たい。衣装本出してください。(私利私欲)

 

Tr.03 PEACH

ケンティーイチオシ、恋する女の子のみずみずしいピーチ色な心を歌ったさわやかな曲。一曲目、二曲目とはまったく異なる方向性ゆえ高低差に耳がキーンとなりそうだがその心配はない、始まった瞬間の「ギュイン!」がチャンネルを切り替えるときのように聴く者のテンションも切り替えてくれる。今回のアルバムでは曲順もかなり重要というか、「これの次にこれ!?強気だな~!」とびっくりしてしまう部分と、「この並びだからこそさらに曲の良さが引き立つ~!最高~!」と飛び跳ねたくなる部分とがあると感じているのだが、この曲の場合は完全に前者だ。振り幅の豊かさを見せつけてくれるという意味でも、三曲目に配置されているのが心底にくい演出である。

楽しくて嬉しくてにこにこしちゃうけど悩みは尽きないしかなしくなっちゃうときだってある、でもそういうのもぜーんぶまるっと含めて恋で、恋をすることはつまり対外的・外向的にキラキラすることなのだ。わたしは恋が、恋愛という事柄が大好きなので、この曲のもつ恋らしい恋らしさが愛しくて仕方がない。どこか春のにおいを感じさせるメロディーはポップロックキャンディー入りの綿菓子のようにぱちぱちしてふわふわして甘くて刺激的。恋の始まりはチョコレートみたいな甘さではなく、そんな甘さがするのだ。この曲とは完全に「恋」の解釈が合致していて聴いているととても気持ちが良い。

恋する女の子でも恋してない女の子でも、女の子だけじゃなくて男の子でも、年齢だって関係なくて、だれでも主人公にしてくれる自由で底抜けの明るさは健人さんの言うように化粧品のCMにぴったりだと思う。思わず鏡の向こうの自分に笑いかけたくなるポジティブで優しいメッセージはみんなの背中を押してくれるし、みんなのもっている赤い実を弾けさせてくれるに違いない。

 

Tr.04 ROCK THA TOWN

2017年のAOKIフレッシャーズCMタイアップソング。初めて聴いたのは確か友達がカラオケで歌ってくれたときだったと思うが、「Sexy Zoneってこんなかっこいい曲あったんだ!」と、MVのクールさとともにとても驚いた記憶がある。天使の羽と引き換えに世界をいだく男の腕を手に入れた…そんな彼らが創るSexy時代の、これはまさに序曲と呼ぶにふさわしい。勝利くんの「Ready for the party now?」が最高にパリピでいついかなるときも拳突き上げてイェ~~!!となってしまう。しかもそのあとに「We are gonna show you how!」と続くのだからますますイェ~~!!だ。パーリナイと縁遠い人生を送っていたって関係ない、他でもないあのSexy Zoneが手ほどきしてくれるのだから安心してただついていけばいいのだ。なんという贅沢だろう。

この曲は風磨くんの歌声や歌い方が一番ハマっていて魅力的だと思う。ざりざりとした感触の歌声といいこぶしの作り方といい、抑えるところでは抑えて伸ばすところで思いきりよく伸ばし通す、そのバランスが絶妙だしなによりお洒落。どちらかに振りきってしまうことよりも、派手なんだけど派手すぎないようにすることの方が案外難しい。それこそセンシティブな作業だと思うし、そのセンシティブな作業をさらっとやってのけている、やってのけているように見せるのがかっこよくって男らしい。

ダンスでの腰振りや勝利くんの指クイなど楽曲だけでなく随所にマニッシュな要素が散りばめられているのも、それまでのキラキラ系王道時おりトンチキアイドルSexy Zoneのイメージを180度覆している。力技とも言えるその挑戦を最高のパフォーマンスと心意気で魅せるSexy Zoneの姿は最高にROCKで最高にしびれて、やっぱり最高にかっこいいのだ。Aw!!!!

 

Tr.05 Birthday for you

ROCKからまた方向転換、POPでCUTEなバースデーソング!飛び出す絵本をめくったときのような、音楽の鳴るグリーティングカードを開いたときのような驚きと嬉しさと、ぱっと笑顔を咲かせるハッピーがこぼれだす歌い出しの「Ha Ha Ha Happiness」「Ba Ba Ba Birthday」のフレーズが楽しい。大切な人とふたりで静かにお祝いするのとはまた違う、みんなでシェアする大きな幸せが詰まっていて誕生日や記念日はもちろんのことなんにもない日にだって聴きたくなる。だれかのハッピーバースデーでもあるしだれかのハッピーアンバースデーでもある今日の日におめでとうとありがとう、毎日を明るくしてくれるこの曲のもつ魔法はティンカーベルの粉みたいにキラキラしている。

一番の見せどころと言っても過言ではない聡ちゃんの「Happy Birthday」の囁きが、この世のすべての優しさと愛しさを集めて作ったシフォンケーキみたいに甘くてやわらかくてふわふわしていて、ピュアで飾らない透明感あふれる聡ちゃんの声と相まってすとんと胸におちてくる。微笑みながら思いを届けようとしてくれる姿がありありと想像されて、こちらも自然と微笑んで「ありがとう」と返してしまう。ぎゅっと手をつないでいるようなあったかさ、これを幸せと呼ぶのだろう。道行く人みんなに優しくなれる気がする。

個人的に「PEACH!」と並んでCMにぴったりの曲だなあと思っていて、たとえばコーラとか、みんなに愛されているみんなの日常に溶け込んでいる飲み物や食べ物のCMソングっぽさを感じる。特別な日にも特別でない日にもそばにいてくれる、そういう普遍的なHappinessがいっぱいいっぱい詰まっているから最高だ。

このアルバムを引っさげて回るツアーではちょうどマリちゃんのお誕生日公演があるけれども、メンバーや会場のみんなでこの曲を歌ってお祝いしたりするんだろうな、と思うとにこにこする。聡ちゃんHappy Birthdayって囁いて~!マリに!(うちわ)

 

Tr.06 ぎゅっと

日本テレビ深夜ドラマ『吾輩の部屋である』主題歌。作詞に風磨くんが携わっていたり紅白歌合戦で披露したり先日開催されたジャニーズ楽曲大賞でも3位という結果を残したり、なにかと話題になっていた「ぎゅっと」。シンプルでまっすぐな歌詞、小学生の子たちと一緒に作り上げたMV、みんなで踊れるようにとメンバーが考えた振付、どれをとってもこの作品に満ちあふれた愛、たぶんそれは隣人愛とか家族愛とかだと思うけれど、そういう愛がそっと心を包み込んでくれて、ぷかぷかしてほわほわしてちょっとだけせつない。元気やパワーをもらえる、というよりも自分の力で元気やパワーを出せるステージまで歩ませてくれるのだ。つらいときや落ち込んだとき、引っ張りあげてくれる力強い腕ではなくなにも言わずに寄り添ってくれる体温がほしいと思うこともあるだろう。その意味ではこの曲はちゃんと36℃をしているしふれられる感触がする。「それでも夜は明けるけれど 君にとってはツラいんだろうな」…他者を想像することって愛なんだ。

けれど、あったかいのにちょっとせつないのは、やっぱり「普通に就職してだれかと結婚して 普通に帰って普通に眠る」という歌詞と、それを勝利くんが歌っているところにある。「普通」を捨てた、「普通」を捨ててくれた、「普通」を捨てなければならなかった、数多の「普通」を足元に敷いてその上に立つアイドルがこの歌詞を歌っている。こんなに尊いことはない。だからこそわたしはアイドルという存在を尊敬したいし、敬意と誠意をもって向き合いたいと思う。もちろんアイドルにだって「普通」はある、「普通」でないことなんてない。それでもわたしたちのもつ「普通」とはどうしたって違ってしまう彼らの届けてくれる「普通」の日々を、わたしはなによりも大事にしたい。

個性派揃いのアルバム曲の中でも一番ストレートで語弊を恐れずに言えばひねりがなくって、だけどその飾らなさがひときわ輝いていて愛おしい。この曲のもつ唯一無二の存在感は正しくそこにあるのだと思う。

 

Tr.07 プンププンプン

「えっ!?」って言った。生まれて初めて、音楽を聴いた瞬間に素で「えっ!?」って言った。自分の部屋でよかった。スタイリッシュさやおとなっぽさを前面に押し出された新曲たちがラジオで続々解禁されるたび、ぼくたちわたしたちトンチキ大好き芸人たちの「プンププンプン」にかける期待が日に日に大きくなっていくのが目に見えていて、実際わたしもそのひとりだったのだけれど、このプンププンプンパイセン、いろんな意味で一筋縄ではいかないらしい。想像してみてほしい、プンププンプンを想像していたらPUNPUPUNPUNだったとき(下記画像参照)、その衝撃の度合いたるや。

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ただのトンチキではなくトンチキの遙か頭上めがけて雲を足場にマリオのような二段ジャンプ三段ジャンプを繰り返していくのだ。ホップステップジャンプというよりジャンプジャンプジャンプ。他の追随を許さない圧倒的な世界観の強さは新たな概念と出会ったような気分にさせて、『Songs』で勝利くんの語っていた「洒落たアルバムにしたいという意図が強く出ている」というのも頷ける。強烈なのに心地良いメロディーが最高に洒落ている。

幾度もリフレインする「プンププンプン」に気を取られてしまうかもしれないが、よく読むと歌詞が非常に哲学的というか深いというか、愛ってなんだろう、幸せって、愛しあうってなんだろう、いやそのまえにプンププンプンってなんだろう…とついつい禁断の自問自答を始めてしまう。良い意味でボール投げられっぱなし、みたいな、それぞれが自分で答えを見つけなければいけない状況にほっぽりだされてるのがおもしろい。プンププンプンとはなにか…Aメロの「プンププンプン」は確かに怒っているときの擬態語だったはずなのに、曲の終盤では「プンププンプン」という確固たるひとつの言葉に聴こえてくるのだから不思議だ。いずれ辞書に「プンププンプン」の項目ができても驚かない自信がある。

聡マリに「Oh my gosh! 何知りたい???」「Oh my gosh! 知らんぷりせず」の歌割を当てた偉い人(たぶん)にはプンププンプン・オブ・ザ・イヤー2018を贈呈。

 

Tr.08 Fantasy~1秒の奇跡~

アルバムの曲を決める際、メンバー満場一致で決まったという曲。オートチューンを使用したメカニカルな声、サイバーでスペイシーなメロディーはここまで辿ってきたどの楽曲にもない新鮮さをもってしてアルバムの中でも強烈なアクセントになっている。ぶわんと響く音の広がりがまさに宇宙の広大さを感じさせて、実際には運命的に出会ったふたりの純粋な気持ちを歌っているのだけど、宇宙旅行をしているような、だれも踏み入ったことのない惑星に着地するようなスケールのでかさがある。一曲の中に同居するミクロとマクロの二項対立に高揚感を抱かずにはいられない。コンサートではぜひともレーザーや照明をガンガン使って会場中を無重力空間に連れて行ってほしい。見える、緑のレーザーが縦横無尽に会場を照らす光景が、わたしには見える…!

ひとつ前に「自分を超えてく何かに出会いたい」「愛し合う時が来たならば 目には見えない何かが見える」と歌ったあとに、これだけファンタジックでお互いの瞳の中に光を見るふたりを歌っているのも、ずるい~!好き~!最高~!と大の字になる。どこまで意図的からわからないけれどそこに偶然ではない意味を見いだしてしまうし、こういう部分に「XYZ=repainting」の物語性を感じて楽しくなる。独立した楽曲としてもアルバムの中の一曲としてもこれ以上なく確立されていて、このチャレンジを機にこれからもっともっとSexy Zoneの世界は無限に広がっていくんだろうなあ、その宇宙に端っこなんてないんだろうなあとわくわくする。それってすごくSexyでFantasyだ。

 

Tr.09 名脇役

アルバムも中盤に差し掛かったところでゴリゴリのバラード…何度めかになるかもわからない「最高」をここでまたフレッシュに言いたい。最高。アルバムをひとつの宝箱にたとえるなら「名脇役」は留め具だと思う。小説をそのまま歌にしたのかというくらい骨太で、なのに糸がほどけるようにナイーブな歌詞、真正面から一人ひとりしっかり聴かせる歌声、存在感あるピアノの透き通った音色、すべてが合わさってアルバムをまとめている、そういう意味で留め具らしいなと思うのだ。

順繰りにソロパートが続いていくのがまるで読み聞かせのようで、ひとつの本をメンバーで回しながら歌っている姿が脳裏に浮かぶし、最後の勝利くんが歌い終わったあとにはぱたりと本の閉じる音すら聴こえる。この物語の続きはきっと聴いた人の心の中にあるのだろう。「君」が「僕」の気持ちを知るか知らないか、「僕」が「君」への気持ちを手放すか手放さないか、最後まで描ききらないのが悲しくて泣きたくなって、けれども「続きを読んでよ」とねだりたいとは思わない。聴いた人それぞれの中に新しい物語の火を灯すことができるのがこの曲のもつ、この曲だけがもつなによりの個性なのだ。

勝利くんのこまやかでさざ波みたいに寄せて返す歌声、健人さんの情緒と想像力にあふれた歌い方、風磨くんの少年のような感性が光る歌の演技、聡ちゃんの透明な色をしたピュアーな、そしてマリちゃんのまあるくてあったかい声質、全員が全員の良さを引き出しながらつないでいくリレーと、最後に全部が重なったときの濃密さ。歌というよりももはや芝居だ。一曲の中でこれだけいろんな側面を見せてくれる主役級の曲なのに「名脇役」なんて、タイトルさえも計算されたように美しい。

 

Tr.10 よびすて

PEACH!」のときに少しふれた曲順の話、「名脇役」から「よびすて」の流れは完全に後者だと声を大にして主張したい。さきほど「この物語の続きは聴いた人の心の中に…」と言っていたのを秒で覆すことになって心苦しいが、「名脇役」と「よびすて」のふたりは同じふたりだと思っている。「僕」の片思いから一歩二歩進んで両思いとなったふたりの、それでもやっぱり拭えないせつなさと悲しさの滲む続きのお話。

わたしは両思いになったことが生まれてこのかた一度もないため想像するしかないのだが、思いを通わせるってすごく痛いことなのかなあと思う。自分の思いをだれかに受け取ってもらう、だれかの思いを自分が受け取る、どちらにも責任が生じるし、この曲のようにまだ年若いふたりならなおさら、一つひとつ経験することがちゃんと痛いのかもしれない。そう思うと切なくて、いつの日か必ず来る別れの日を想像しては泣きたくなる。まあ想像なんだけれども。初恋のようなピュアな心情を描いた歌詞とどこかおとなの落ち着きを感じさせるメロディーが少年と青年の間で揺れているみたいで抱きしめたい。Not a boy, not yet a man、長い人生の中でも短い時期にしか表現できない絶妙なバランスを保ったその危うさが愛おしい。

コンサートではぜひともアルバム通り「名脇役」からの曲順でやってほしいと切に願っているのだが、昨年のツアーですでに披露しているので実現するかどうかは神のみぞ知る…どきどき。

 

Tr.11 Unreality

みんな大好き「Unreality」、メンバーも口を揃えて「かっこいい」「大好き」と言う「Unreality」。個人的にはリード曲「忘れられない花」と対をなす曲だと感じている。表に出す顔としての新しい挑戦は「忘れられない花」で、そこからさらにこんな顔もあるんだよ、こういう表情もできるんだよって口元にあやしく笑みを浮かべている裏側の顔。表と裏なんだけれど表と裏で全然別人というわけではなくて、しっかりぶれない芯で冒頭からここまでを一本の線でつないでいる感じ。repaintingを見せる上での強固な姿勢がしびれるほど誇らしい。

この曲はなんといってもマリウスくんの英語が最高にcoolでhotだ。聴く者を一気に曲中へ引き込む歌い出しの「Unreality…」、リズム良く続く掛け合いや歌い継いでいくところ、すべてにマリウスくんのもつ類のない存在感が際立っていて武者震いしてしまうほど興奮した。いよいよ18歳を目前に控えた彼の魅力を最大限生かしたエネルギーに圧倒されて息もできない。ただかっこいいだけじゃない、どこかミステリアスさを湛えた引力に抗うことなく身を任せたくなる。

アルバムの中でももっとも技巧が凝らされていてどの瞬間を切り取っても新たな発見があるのもこの曲の強みのひとつだ。絶え間なく散りばめられたそれぞれのフェイクは曲全体を立体的に聴かせているし、特に勝利くんの少し気だるい低音フェイクはSexyそのもの。健人さんの巧緻なファルセットも美しく、風磨くんのきゅっと絞るような声の出し方も刺激的で、聡ちゃんのやわらかさとかたさの間にある、反射する光みたいな声も最高のスパイス。何度もリピートしてしまうのに何度聴いても飽きない、とてつもない可能性にあふれた曲だと思う。

畳みかけるように全員が語りかけてくる「Unreality」はアーバンかつポリッシュで、Sexy Zoneの打ち出すrepaintingの姿に間違いがないことを確信させる。最高の武器を手に入れた彼らの未来は確かにそこに存在しているのだ。

 

Tr.12 Pheromone

モテたい男子の率直な心を豪速球に歌い上げたコメディーソング…という位置付けのはずだが、わたしは絶対にこの曲の主人公は「モテないからモテたい男」なんかじゃないとにらんでいる。だってモテない男は「舞い落ちろフェロモン貴方のハートへ」なんて強気なこと言えないんじゃないかと思うのだ。彼はきっと、それなりにモテているんだけどもっともっとモテたいし大勢の女の子を虜にしたいタイプの、ちょっとよくばりな男の子なのだ。ぼくモテないんです、そんな顔をしてその実シルクハットとテールコートでダンスに誘っちゃうような洒脱でチャーミングな男の子。彼のウィンクになびいたら最後フェロモンにとらわれて離れられなくなってしまう。でもそんなのって最高じゃん!ってなるのだ、絶対。

普段からキャーキャー言われている、言われ慣れているはずのスーパーアイドルSexy Zoneが「一度はキャーキャー言われたいじゃない」「ただただモテたいだけ」と歌っていることもコミカルさに磨きをかけている。言葉遊びみたいな「サッサッサパッパッパ」も一度聴いただけで耳に残るし、発音が良すぎてなんて言ってるか聞き取れないけれどマリちゃんの英語部分も印象的、ゲームのBGMっぽい軽さもあるショーのダンスシーンみたいなサウンドも、とにかくあっちにこっちにフックだらけで忙しい。たとえるなら曲全体がアメコミみたいなおしゃれさでこれもまたSexy Zoneにしか歌えない新境地だなあと感嘆してしまう。豪速球なのにこんなに飄々としていて良い意味で小憎らしい感じ、文句なく100億点満点最高点です。

 

Tr.13 ラブマジ

Sexy Zoneのメンバーをモデルにしたキャラデザが話題の学園ラブコメ乙女ゲー系アニメ「せくぞん!」第一期OP。と、真顔で大嘘をついてしまうほどアニメのオープニング感がばしばしあふれる、疾走感ときらめきと、向こう見ずでまっすぐで、青春の王道を駆け抜けていくさわやかさが最高にまぶしい曲。わたしが石油王だったらこの曲でアニメMV作りたいマジで。「それがカワイイ ボクはキミをつかまえたいよ」の後の間奏で5人がふざけあい笑いあいながら青空バックに駆け出していくのを、音に合わせて写真をコマ送りするみたいに切り取って映したい!(わかりにくい)

洒落感やスタイリッシュさを押し出した楽曲が続いたあと、ここにきてこれだけキラキラで直球アイドルな曲がくると「こ、これだー!!」と空を仰いで両腕を突き上げたい衝動に駆られてしまう。彼らの言うrepainting、つまりいままでのSexy Zoneの良さや個性はきちんと残しつつ塗り足していくというのはこういうことだったのかと腑に落ちる。Sexy Zoneが歩いてきた道がちゃんとこれからも続いていくんだよという意思表示でもあるのだろうし、チャレンジングなアルバムの中にもいつものカフェみたいな、行きつけの場所がちゃんと残っている。大事にされているなあと思う。この道を彼らと進んでいけば間違いないんだって確信がもてる。

コンサートでやったら絶対に盛り上がるだろうしなによりみんなで「YES!YES!」って叫びたい!WAKUWAKUとDOKIDOKIが止まらない!

 

Tr.14 Ignition Countdown

さわやか青春アニメを見た気分にさせてからの、一気に男の表情を見せつけてくる強気な曲順第二弾。この曲に関してはもう、語彙が溶けるというか、「やばい」「かっこいい」「オスみ」「最高」「聡ちゃん」「マリ」といった言葉しか出てこないのでおそらくファービーに感想しゃべらせた方がまだ言語能力あると本気で思う。なんてったって聡マリがやばい。なんてったって聡マリがやばい。なんてったって聡マリがやばいのだ。

歌い出しの聡ちゃんに息をのむ。一瞬で頭を真っ白にさせるほどマスキュリンで、光を吸い込むナイフのような、切り込み隊長と呼ぶにふさわしいアグレッシブな鋭さがハンパなくかっこいい。それまでのピュアで透明感にあふれていて、優しくてやわらかくてシフォンケーキみたいな「聡ちゃん」はここにはいない。指先ひとつで世界を掌握する気概と覚悟に満ちた松島聡という男の熱量、マグマみたいだ。ラップでの「C’mon 3,2,1」も凄まじい。「1」の一言でここまで世界を支配下に置く人をわたしは初めて見た。弓なりにしなる「1」の発音、「1?」と語尾を上げて問いかけてくる強気な姿勢、それなのにしっかり抑えがかかっていて突き上げまではしないあやしさ、目を細めて口角をあげて挑戦的に笑む表情がはっきりと見える。もうお手上げだ、降参だ、お願いだからこれ以上は勘弁してほしい。ここに視覚的な情報が入ってしまったらいったいどれだけの女が断末魔とともに膝から崩れ落ちることになるのだろう。歴史に刻まれるその瞬間を実現させるためにも絶対に絶対にフルで歌ってほしい。

それからマリちゃん、いやマリウス様から矢のように放たれるしたたかさも強烈すぎる。特に一人ずつ重なっていくDメロでは最初に歌うマリの「引っ張る力」が顕著で、一本の芯のように、揺らがない土台のように構えているのがたまらなくかっこいい。もともとの声質に厚みがあることも相まってメンバーの声が重なっていっても存在感を忘れることなくしっかり聴かせてくる。コンサートではセンターで歌ってくれるんじゃないか、センターにいるマリを筆頭にV字になるようメンバーが集まってくるんじゃないかといまから想像が止まらない。

「聡マリ」という可能性の塊がバーストしたこの曲、特効と炎がバンバンぶっ放される中ぎらぎらした心意気もむき出しにパフォーマンスしてほしい。その姿に気圧される日が待ちきれない。

 

Tr.15 フィルター越しに見た空の青

「ラブマジ」がアニメのOPならこちらは映画「Sexy Zone」の主題歌。重厚なサビのサウンドと、それをバックに天高く昇っていく、青空を突き抜ける短いフレーズが織り成す対比がきれいで心地良くて、良い映画を観たあとすぐには立ちたくなくて椅子に沈んでいるときのあの感覚を呼び起こす。イントロのタカタカした音がステップを踏むように連れてくる「おろしたての靴 なんだか胸躍る」の歌詞はまさしく物語の始まり、これからこの曲の世界に入っていくのだと聴く者に自然と思わせるのがすてきだ。これもまた「In my new kicks」のひとつなのだろう。

幸せな心情を歌っているのにどこかせつなさが滲むのはサビに多用される過去形が理由なのかなと思う。たぶんこの物語は素直なハッピーエンドじゃなくって、彼らにはいずれ離別を迎える日がくるのだろう。だからその日のために「青」を切り取るし、「君」を切り取るし、いまを切り取る。切り取ったらその中にあるのは過去ではなくなって、いついかなるときも「いま」なのだ。永遠に生き続ける「いま」を見つめているのにそれでも避けられず過去形になってしまう。サビで一気に厚みを増すサウンドがそれこそフィルターのようで、フィルター越しでないとそのときそこにあった「いま」を見ることができない。その幼子みたいなままならなさが胸に迫る。

『Songs』で語っていたマリちゃんのこの曲に対する解釈、「本当は好きなのに、直接好きって言えない比喩」が大好きで、そういう想像を聴いた人それぞれにかきたてることができるのもこの曲独特の自由な個性だと思う。そんなマリちゃんの歌う「僕の街から飛行機雲が見えた 会いに行こう」は彼がアイドルを志した背景ともオーバーラップして最高にエモーショナルだ。青空に浮かぶ白い線のいたいけなくもりのなさ、そういうものを愛の形と言うのだなあとふと考える。

 

Tr.16 最後の笑顔

人生とはショーだ。人生を生きる人間はみな舞台役者だ。この曲のショーっぽさはそのまま人生の舞台を照らすスポットライトなのだ。

イントロからすでに元ミュオタの魂が燃え血沸き肉躍り始めてしまっているのだけれど、それはそれとしてそう思うのにはもうひとつ別の理由がある。この曲のタイトル「最後の笑顔」とはいったいだれの笑顔のことなのだろうか。「あの時公園で待ち合わせた君」は目を潤ませていて、「最後は笑顔」という約束をきっと果たせなかった。よく見てみるとこの曲で一貫して笑顔でいるのは主人公の方なのだ。「君」のいないいま「僕」を笑顔にさせるものはない、それでも「無理して笑って歩き出す」「僕」のその笑顔こそが最後の笑顔で、「君」への愛を証明するとびきりの優しさなのだと思う。「僕」の笑顔は一世一代の演技にほかならない。「僕」は人生という舞台の上で「君」の言葉を守って演じ抜く。それってすごい、ものすごいショーじゃないかと思うのだ。

でも考えてみたら大なり小なりみんな同じことで、もしかしたらさっきすれ違ったあの人は、友達と笑いあって歩いていたけれど実は心の中ではなにかに傷ついているかもしれない。もしかしたらにこにこ笑顔の顔文字やきらきらハートの絵文字をくっつけてメッセージを送ってきたあの人は、ディスプレイの向こうでは泣いているのかもしれない。だれだって見える姿が本当だけれど、見える姿だけが本当じゃない。そういう意味で、人生ってショーなんだ。

という解釈はさておいても、この曲のショーサウンドはアルバムの楽曲たちの中でも群を抜いて洒落ていて好みド直球ド真ん中で最高に気持ち良い。それから曲順、「フィルター越しに見た空の青」と同じく「靴」というキーワードから始まるのも、ふたつの曲がつながっているのかもと深読み欲求が刺激されてとても楽しい。そういうのもすべてひっくるめてセンスが光るし、最後まで失われないアルバムへのこだわりが感じられて最高だ。最高から始まって最高で終わる、こんな最高なアルバムってあるか!ある!ここに!

 

[Disc2] Tr.01 会いたいよ

春の高校バレー、大会イメージソング。高校生たちの汗と涙、青空と雲と太陽の切れ端と、きらりと光る青春のかけらをそのまんま曲の中に閉じ込めたような、タイムカプセルみたいな曲。心はともかく身体と年齢だけはおとなになってしまっても聴けばたちまちあのころのみずみずしい気持ちを取り戻せるというか、あのころに直接飛び込んでいけるような不思議な感覚にさせてくれる。青春というのはおとなになったら取り戻せないものではなくて、いくつになってもちゃんと手元にあるのに環境が変化していくにつれもっていることを忘れてしまう、だからもう失ってしまったと思い込んでしまう、そういう確かで不確かなものなのだ。「会いたいよ」は、そんなちょっと悲しいおとなたちのための青春ソングでもあると言いたい。だれだって生きてるだけで青春だ。

この曲は特に聡マリの歌割がじんとしみる。「君じゃなきゃ出来ないよ」「僕のそばを離れないでいて」、それから大サビ、優しくてあったかい声が朝日みたいにきらきらとしていてやわらかい。まぶしい、と一言で言ってもいろいろあるけれど、ここでいうまぶしいは照りつける夏の日差しや舞台を照らすライトのまぶしさを指すのではなくて、ゆっくりと顔を出す朝の光を見たときのまぶしさだと思う。ぐんと背筋を伸ばしてくれる、顔をあげて一歩を踏み出させてくれる、そんな一人称の優しさに満ちたふたりの歌声になによりも勇気をもらえるから、腕の中にぎゅっと抱えて大事にしたい気持ちでいっぱいになる。

 

[Disc2] Tr.02 Luv Manifesto

作詞を新進気鋭の美男子作詞家S.K.Yさん(ケンティー談)、作曲をあの中島健人さんが手掛けた健聡マリユニット曲。「愛の公約」というタイトルの通りに三者三様の愛への考え、思い、公約が掲げられている歌詞構成がおもしろい。健人さんのセンスと聡ちゃんのギャップ、マリの信念がそれぞれ独特の個性を爆発させていて聴きどころもりだくさん。作詞するにあたっては健人さんが聡マリに愛についてのアンケートを取ったとのことだが、そういうメンバーがメンバーをプロデュースする曲の作り方も新しくて他の組み合わせでもぜひ見てみたい。

過去ではなく未来に生きようと手を引っ張ってくれる健人さんの歌詞は、恋愛においてはリードしたいタイプと言っていた健人さんの責任感にあふれていてかっこいい。恐れなく進む視線の先になにがあるのか、だれも踏み入ったことのない世界を一緒に切り開いていけるしたたかさに胸が高鳴る。一方で、楽しいだけではなく悲しいを共有できることを重視する聡ちゃんの考え方はある意味もっともリアリスティックだと思う。「この人となら幸せになれる、ではなく、この人となら不幸になってもかまわないと思える人が運命の人だ」という言説をどこかで目にしたことがあるが、聡ちゃんの愛への姿勢はまさにそれだろう。幸せでも不幸せでも同じ方向を見つめること、肩を並べて立つこと、運命をともにすること、そういう激しさを内包した覚悟はなによりの武器にもなる。そして哲学者との質疑応答のようなマリちゃんのラップ詞もなかなか強烈。強烈なのだけれど、個人的に「僕に世界を作った君は 僕と共に変わるって意味だ」がわたし自身の考えと一番似ていて共感できる。人間って変わるし変わらない、変わるけれど変わらないまま愛していけるし、その人がその人である限りその人のもつ愛も変わらない。恋と違って愛が不変なのは愛のもつ対内的・内向的な性質がそうさせるのだと思う。

歌詞だけでなくメロディーや歌割も新鮮で、なのにきちんとハマっているのもこの曲最大の魅力と言える。歌い出しのマリの低音がまずすばらしい、包むような広がるような、頭の中身が一瞬で開かれるような、マスキュリンな芯の強さを感じさせながらフェミニンななめらかさをも併せ持つ歌声に惹きつけられる。あと「アンバランスに感じてもいいよ」の「バ」の発音が本アルバム中一番好きなマリちゃん。唇の動きが想像できる絶妙な震えがたまらない。最高。

コンサートでは手を使った演出に注目とのことなのでこの曲がまたどんなふうに変化するかわくわくしながら開幕を待ちたい。健人Pすてきな曲をありがとう!

 

[Disc2] Tr.03 Kiss You Good-Bye

ブ…ブロードウェイじゃん!!いや…ブロードウェイじゃん!!

帝劇での披露のときはまだファンではなかったのとラジオでの解禁もあえて避けていたのでリリース後初めて聴いたのだが、最初あまりの衝撃に思わず立ち上がってしまった。自分の部屋でよかった。舞台の赤い幕がゆっくりと上がって鮮烈なスポットライトが勝利くんを照らしている光景、固唾をのんで勝利くんを見つめる客席の光景が目前に広がる。聴けばたちまちいつだってどこだってそこが劇場になる。ショーアップされたムーディーでグルーヴィーなサウンドが最高、最高、最高!

こんなにジャジーで華やかなメロディーながら、いっさい埋もれることなく一貫して堂々たる主役の顔を保つ勝利くんの歌声、歌い方、感情の込め方、文字通り「舞台の上で生きている」感じがしてたまらない。この歌を歌う勝利くんはアイドル、歌手というよりも役者だ。周りの要素すべてを巻き込んで表現するしなやかさと折れない強さにくらくらする。

低く重く、感情を抑えるように語るAメロBメロと、そこから勢いよく弾けさせるサビの対比、物語性に心が躍ってしまう。別れを描いた悲しい歌ではあるのだが、どこか気取った雰囲気が悲しみを悲しみだけで終わらせないエンターテイメントになっていて非常にスタイリッシュ。最後に幕が閉じたあと、再び幕が上がりカーテンコールで両腕を広げて微笑む勝利くんの姿までも浮かぶようで、なんというか最初から最後までやられっぱなしでおいおいまいったな、みたいな気持ちになるのだ。役者・佐藤勝利、おそろしい。

 

[Disc2] Tr.04 Sing along song

「男の友情」をテーマに勝利くんと風磨くんが作詞した曲。最初にテーマを聞いたとき、「男の友情」だから熱い感じになるのかな?さわやかなのかな?なんて短絡的に考えていた自分の貧困な感性が恥ずかしい。女だから男の友情なんてわからない、じゃなくて、男の友情も女の友情も、おんなじ人間同士の友情なのだということになぜ気づけなかったのだろう。特に風磨くんの担当したパートは中高の友人に宛てたと言っていた通り、アイドルの「菊池風磨」ではなくひとりの人間としてそこに立つ「菊池風磨」の息遣いを感じる。

「ぎゅっと」でアイドルの「普通」について考えたけれど、たぶんその答えのひとつがこの中にある。アイドルって、ある日突然に道が切り取られて崖下に落ちるようにアイドルになるのではなくって、あるひとりの人間の軌跡と地続きで、コーヒーに砂糖やミルクを混ぜるみたいに、別々の液体が混ざり合ってゆっくり別の色に変わるみたいに、そういうふうにしてアイドルになるのだと思う。アイドルになったからその人そのものが変わったんじゃない、着ている服が少し変わっただけなのだ。そう気づいたとき、友達に「遠くなった」と言われて逆に離れられた気がしたと言う風磨くんの、ひとりの人間としての痛みが切実で悲しい。

洋楽みたいなメロディー、スローなテンポにのせて歌われる友情の嬉しさと寂しさ、「永遠にSing along」で終わって未来へと続いていくメッセージ、声質の異なる勝利くんと風磨くんの歌声が交互に紡いでいくタペストリーのようなこの曲は、きっと時が経っても聴く人の心の中に色鮮やかなままでいてくれる。

 

[Disc2] Tr.05 O.N.E. ~Our New Era~

Sexy Zone5人で作詞した、「Sexy Zone」「STAGE」のアンサーソングでもある「O.N.E. ~Our New Era~」。位置づけやタイトルからしても「STAGE」のようなバラード寄りの、ありていに言えばエモい曲が来るのだろうと思い込んでいたせいで度肝を抜かれた。文字通りドがつく激烈なロック、軍隊の行進をすら思わせる力強いサウンドと、選手宣誓、宣戦布告そのものの歌詞、未来を、時代を創る気概と覚悟を牙のようにむき出しにした歌声と歌割。ここまでずっと多種多様なrepainting、新しいSexy Zoneの挑戦を目の当たりにしてきたけれど、最後の最後で最大に盛大に最高潮にぶっ放すナンバーを持ってくる姿勢にSexy Zoneの本気を感じてぞくぞくする。一曲目、「XYZ」で高みに行く準備はできているかと問われて頷いた、手を取った、その心をもう一度確認されている気になる。てっぺんをとる、トップに立つことがゴールじゃないのだと。そこから新しい時代を創るのだ、さあ行こうぜと、どこまでも崩れない、攻めていく姿をこの曲はありありと提示する。

「嵐を越えていけ」の「嵐」は言葉そのままの「嵐」でもあるし、名実ともにトップアイドルたる「嵐」のことでもあるだろう。これだけストレートで恐れを知らず、闘志を具現化したまさに有言実行の宣告書。わたしはSexy Zoneのファンになるまえから、嵐の次にトップに立つのはSexy Zoneだ、近い将来彼らがてっぺんをとる姿が見える、絶対にその日がくると確信していて友達にもたびたび主張していたのだが、きっとそれは外野ではなくほかでもない本人たちがそう確信しているからこそなのだ。そこに1ミリも疑問や諦めを挟まない豪胆な精神と途方もない度胸に心が震える。『日経エンタ』で「もう若さを言い訳にはできない」と語っていた通り、きっと彼らにはもう、後戻りどころか後ろを振り向くことさえ許されない。前を向けば止むことのない風、後ろからは追い上げてくる風だってある。けれども彼らだって確実に「いま」を進んでいる。それだけでもう怖いものなんてなんにもない。

「我らこそルールです」「二番じゃ意味ないです」の部分、歌詞そのものの激しさはさることながらそれを聡マリが歌っている事実がまた強い。歯車が噛み合って回りだしてなにも欠けることのないいま、向かうところ敵無しのSexy Zoneとともに、拳を突き上げて疾走する先に見える景色を知るのはもうすぐだ。

 

 

「XYZ=repainting」のレビューという名の自由律俳句、気ままに書きつけていたら16,000字以上(16,000字以上???)にも及んでしまったけれど、とにもかくにも言いたいことは「「XYZ=repainting」最高~!!!」の一言に尽きるのでそれだけ伝わっていたらいいなと思う。この最高のアルバムを引っさげたツアーが本当に!本当に!本当~に!楽しみ!最高のコンサートになることはわかりきっているので、わたしはただ彼らから提示されたものを素直に受け取ってテンションぶちあげてぶちぎめてSexy Zone最高~!!」って叫びながら大通りを両腕振り回して駆け抜けたいと思う。

Sexy Zoneと、Sexy Zoneの存在するこの世界のすべてにSexy Thank You!!